2026/03/11
確定申告期間も残りあとわずかですが、お陰様で当事務所の確定申告業務はほぼ終了しました。
様々な事業内容を見る機会がございますが、個人事業者の場合、事業所得金額600万円が一つの目標値だと考えています。
法人の場合ですが、金融機関の融資判断の一つに役員報酬600万円というものがあるそうです。
所得600万円と言いましても、そこから所得税、住民税、事業税、健康保険・国民年金保険料等を支払いますので可処分所得としてはもう少し下ります。
ザックリ450万円程度でしょうか。
月額にして手取 約35万円~40万円ですね。夫婦+子供二人の4人家族の大体の生活費ですね。
ところが、給与所得者と違い、個人事業者の場合、獲得した所得の何割かは事業の成長のための再投資に回す必要があります。
「戦略予備費」などという言い方もしますが、この「戦略予備費」をいくらとれるかがこの先の事業成長に大きく影響します。「戦略予備費」は言い換えますと「失敗予算」です。成長のためには投資が必要ですが、投資したからと言っても必ず上手くいくとは限りません。むしろ失敗する方が多いかも知れません。
ですので、「失敗しても事業が傾かない程度の予算」=「失敗予算」をどれだけ確保できるかが重要です。
すると、例えば毎年、100万円は広告宣伝費、採用費、新商品開発費などに使いたいとした場合、所得600万円でも足りないかも知れません。
もちろん、足らずは金融機関からの融資で賄えば良いのですが、やってみないとわからないことに対して借入をし、返済負担を負うリスクも考えておかなければいけません。
そう考えますと、皆さん、とかく【節税】【節税】と言われる方が多いですが、まずはもうけを出すことを第1に考えるべきです。
節税は所得600万円を超えてから、何なら800万円を超えてから考えるくらいで丁度良いと思います。
少し厳しい言い方になりますが、4人家族世帯の個人事業者の方は所得600万円以下は赤字という感覚を持っておいていただきたいです。企業経営において赤字は【悪】です。
税金ばかりに目を奪われず、所得(利益)を出して事業を成長させていただければと思う確定申告時期でした。
令和9年4月から2年間限定で飲食料品の消費税率が現行の8%から1%に引き下げられる見込みです。
近年の食料品などの物価高騰を受け、政府・与党は生活者支援策として飲食料品(外食・酒類を除く)の税率を一時的に1%に引き下げるということのようです。
生活者にとって、消費税減税は嬉しいことのように見えますが、果たして、そう上手くいくでしょうか??
減税したとしても、これだけ物価が高騰していく局面では減税分が物価の値上げ分に吸収されてしまい、十分な減税効果が得られないのではと懸念しております。
さらには、事業者、特に飲食店経営者にとっては、この消費税減税によって資金繰りには今以上の注意が必要です。
まず、事業者の消費税の納付額は、原則として、売上に係る消費税から仕入に係る消費税を控除する差引計算によって算出されます。
これを前提として飲食料品の税率8%と1%のそれぞれのケースにおいて、消費税の納税額がどのようになるのか計算してみましょう!
(例)売上高 3,000万円(税抜)、食材仕入高 1,000万円(税抜)の場合
(1) 食料品の消費税率8%(現行)の場合の消費税納税額
①
売上高 3,300万円(税込)、② 食材仕入高 1,080万円(税込)
③
納付税額 300万円-80万円=220万円
(2)食料品の消費税率1%(令和9年4月から2年間)
①
売上高 3,300万円(税込)、② 食材仕入高 1,010円(税込)
②
納付税額 300万円-10万円=290万円
ご覧のとおり、仕入業者に支払う金額は70万円減少しますが、控除する消費税額も同額だけ減少するため、納付税額は70万円増加します。
要するに、仕入業者に支払う消費税が減少してもその分だけ納税額が増加するため、年間の資金収支としては同じです。
「じゃあ、損得ないしいいじゃないか!」と思うかも知れませんが、その考えは危険です。
消費税は預り金的性格のため本来は、毎月プールしておくことが望ましいですが、飲食店経営者は中小零細企業がほとんどであり、多くの事業者は資金繰りに余裕が無く経営されています。
消費税納税額のプールを毎月きちんとできないのが本音でしょう。
そのような中小零細企業経営者にとっては日々の仕入業者へ支払が7%分減少したとしても、それほど余裕が生まれず、一方で、確定申告時の納付額及び半年(又は四半期)の中間納付額が増え、今以上にまとまった納税資金の準備が必要となります。
準備できなければ滞納扱いとなり、金融機関からの融資も困難になりますので、今まで以上に資金繰りの管理、業績の管理を徹底する必要がございます。
消費税納税に追われることにならないためにも、日々の資金繰り改善に努めることが大切です!
目先の対症療法ではなく、「月次決算を行い、毎月の業績の見える化を図り、問題点を抽出し、打ち手(利益率の改善、在庫管理の徹底、固定費の圧縮など)を考え実行すること」によって利益体質の企業にしていきましょう!